- 虹の橋クリニック 竹内 尚院長
内視鏡検査(胃がん・大腸がん)
2015年のがんの部位別予測罹患数(国立がん研究センター調べ)によると、大腸がんが1位、胃がんが3位となっている。元々多くの罹患数があった胃がんに対し、大腸がんは近年罹患数が増加傾向にある。一説には、食生活の欧米化が一因ではないか、と言われており、現代においてもっとも注意すべき疾患のひとつであろう。ここでは、そんな胃がん・大腸がんの早期発見に有効な内視鏡検査についてお伝えする。
大腸がんは初期症状のサインを見逃さないで!
胃がんについては、初期症状がほとんど感じられないため、定期的に検査をしていないと、気付いたときにはがんがかなり進行しているということも少なくない。万人が一度検査を受けておくべきではあるが、特に注意すべきなのはピロリ菌感染や慢性胃炎の症状がある人。これらの人は、胃がんのリスクが高い可能性があるため、早期の検査をおすすめする。
一方、大腸がんに関しては、わかりづらいながらも、初期症状のサインがある場合がある。そのサインのひとつが、“血便”だ。しかし、痔持ちの人などは特に、それが大腸がんによるものなのかどうか自分では判断できないため、血便が出たらすぐに病院で検査を受けるべきだ。また、“便秘”も大腸がんのサインである可能性がある。特に、普段便秘ぎみではないのに、急に便秘になった場合は要注意だ。それは、大腸に腫瘍(がん)ができたために起こった便秘である可能性があり、見逃せない初期症状である。
以上のような症状がない人でも、一度内視鏡検査を受けておけば、自分は胃がんや大腸がんのリスクが高いかどうかを判定してもらえるため、今後どのくらいの頻度で検査を受けるべきなのか、その判断の参考となる。
内視鏡検査の敷居を下げるために
そんな中、『虹の橋クリニック』では、消化器内視鏡学会の認定専門医が2名在籍し、胃がん・大腸がんの早期発見・早期治療に力を注いでいる。竹内院長はこう語る。「胃がん・大腸がんは初期症状が少ないため、定期的な検査が何より重要になります。ですが、個人差はあるものの、内視鏡検査には嘔吐反応(えずき)や痛みが伴うこともあるため、敬遠されがちです。ですので、私たちはできるだけ楽に検査を受けてもらえるように、さまざまな工夫をしています」。検査前の時間を過ごす前処置室を個室にし、極力他人と顔を合わせることなく、リラックスした状態で検査に望んでもらえる環境づくりもそのひとつだ。そうすることで内視鏡検査の敷居を下げ、誰もが楽に検査を受けられるように努めている。
内視鏡用炭酸ガス送気装置(UCR)で
検査後の苦痛を軽減
大腸内視鏡検査で感じる苦痛の原因の多くは、検査中に腸内に入れる空気。その空気によりお腹が張って気分が悪くなることがある。しかし、炭酸ガス送気装置により送る空気を二酸化炭素にすることにより、その二酸化炭素は水に溶けていくので、検査後のお腹の張りを軽減することができる。『虹の橋クリニック』では、そのような方法でも苦痛軽減に努めている。
NBI(狭帯域光観察)を用いた
早期発見のための検査
胃でも大腸でも、通常の内視鏡の光では微細な腫瘍やその境目がわかりづらいことがある。そのため同院で使用されるのが、特殊な波長の光を照射して腫瘍をカメラの映像上に浮かび上がらせる『NBI』というシステムだ。これにより、腫瘍を見分ける精度が高まるため、がんを早期発見し、早期治療に取り掛かるための重要な技術となっている。
胃の検査には次の2つ
①経口内視鏡
胃がんを見つけるための内視鏡(胃カメラ)は大きく分けて2種類。ひとつが、口から内視鏡を入れる『経口内視鏡』だ。口から少し太めの管を入れるため、嘔吐反応が出やすいものの、約5分と検査時間が短くて済み、カメラの性能が高いため鮮明な映像で胃の中を検査できる。
②経鼻内視鏡
もうひとつが、鼻から入れる『経鼻内視鏡』だ。経口内視鏡に比べ管が細く、口内を通らないため、嘔吐反応が少なく、苦痛を抑えて検査することができる。一方で、管が細いため、搭載できるカメラのサイズも小さくなり、若干ではあるが、胃内を映し出す映像の質が落ちる(近年は技術の進歩により小さいカメラでも性能が高く、大差はなくなってきた)。また、胃内を洗浄する水や胃を膨らませる空気を送る量も少しずつになるので、検査時間が5〜10分と、経口内視鏡検査に比べ少し長くなる。